こんにちは、食に興味があって小学生の頃からケーキを焼いていた管理栄養士のりっぺです。
施設栄養士を辞めてまるカフェをオーナーになって出会った本です。知り合いから勧められて読みましたが期待以上によかったのでその本をご紹介します。
料理を通じて人や自分自身と深く向き合う本です。
恋人、お金、声もなくした女性の倫子が生まれ故郷に戻り、料理人として再生するストーリー 。親子の確執の行方に切なさ、 食べ物の描写が素敵で料理の素材感が良く伝わります。何気なく日々すごしているけど、実は自分の周りの人にもたくさんの物語があるんだろうなと思わせる話になっています。
主人公が作るスープはいろんな愛情が詰まっている
色んな人の愛情が詰まった、主人公の倫子が作るスープみたいな本でした。料理の食材や味に加えて、登場人物の背景と心情の表現がスパイスとなって一つのスープが完成します。
食材の声に耳を傾けてかたつむりのようにゆっくりとした丁寧な食事作り。こうでありたいと願いつつも日常に追われる私の生活では少々無理、本の世界でゆっくりと味わいました。食事というものはただ腹を満たすだけではなく、もてなす側ももてなされる側も心も満たすものだと教えてくれました。
料理とは祈りそのもの!想いを料理に乗せて届ける姿に感動
人と人の縁を結ぶ倫子の料理、食べてみたくなります。自分が大切にしてきたこと、食材に対する愛情、お客様に美味しく食べてもらいたいという気持ちで美味しい料理だけでなく幸せも届けていく。食材一つ一つを大切に扱う姿勢を見習いたい。「私にとって、料理とは祈りそのものだ」母への想いを声に出して伝えることはできなくても想いを料理に乗せて届ける姿に胸が熱くなりました。
自分の人生に迷いながらも、色んな人に支えられて着実に前進しようとする主人公の健気さに元気を貰え心が満たされました。
タイトルに食堂とある通り、料理はこの本の一つの主題となっています。料理に関わる全ての行為その一つ一つに心動かされる作品でした。食に携わる方にはぜひ読んでほしい1冊です。